Character...
ソルド/ 主人公。十四歳。アージャラトゥーム家の次男。
年齢の割りに背丈が高いが、発言や行動には子どもっぽさも些細に残る。学問、商業の才能には恵まれなかったものの、楽器だけは得意で、弦楽器をとりわけ演奏するのが好き。わけあってククルと結婚することとなるが……。
ククル/ 主人公。十二歳。両親が死する前、遊牧していた両親から家畜の扱いだけでなく、音を細かく聞き分ける力を認められ、テュルク語、オスマン(トルコ)語、ペルシャ語、ギリシャ語を教えられている。
識字が出来、文字を書くのも得意。過去の為に失語しているが家事全般、裁縫などが得意。
アージャラトゥーム家の人々
カルルク/ ソルドの兄。二十四歳。【初出/短編第二話〜Зефир песни〜(前)】
アージャラトゥーム家の長男。妻はサラ。家業では父の右腕。宝石、服飾品関連の取り引きを一手に担っている。ソルドとカルルクの実母は、わけあって幼い頃から家におらず、それから兄弟二人は他の誰よりも絆を深めている。
サラ/ カルルクの妻。二十四歳。【初出/短編第三話〜Зефир песни〜(後)】
風変わりな美女。彫金細工職人の娘で、父子家庭の育ち。十二歳のときにカルルクと出会い、十年かけて、二十二でようやくカルルクと身分違いの結婚を果たす。育ちの事もあって、家事も得意だが、父のような職人になりたかった女性でもある。夫や家族に反対されながらも、日々こっそり職人勉強を欠かさない面も。
ギチェク/ ソルドの父。五十四歳。【初出/短編第三話〜Зефир песни〜(後)】
アージャラトゥーム家の家長であり、村の『首長』でもある。父の世代から『貴族』を名乗り出し、ギチェクも対外的には貴族を名乗る。最初の妻が実家に戻ってしまったので、現在は後妻をとっている。
タミル/ソルドの祖母。七十歳。アージャラトゥームの裏の主人。
ギチェクを頂点とした仕事社会が男の表世界ならば、女世界の最高権力者。家の中では誰も彼女に逆らえない。気に入らない相手に意地悪をし放題。息子のギチェクも敵わない。
アルーケ/ソルドの義母。ギチェクの後妻。
馬屋番(アルマムベト)/アージャラトゥーム家の使用人。
若いながらも、家畜への強い思いと行動力とで次第に能力を認められ、現在は使用人の序列第三位にまで上り詰めた。貴重の家畜から、数え切れないアージャラトゥーム家の資産である獣たちの責任を一手に任される立場となった。
使用人頭(ムスタファ)/アージャラトゥーム家に、最も長く仕えている使用人。
人事の采配などを一人で全て行い、全使用人を把握している唯一の人物。家長ギチェクからの信頼も厚い。本名はユルマズのムスタファ。元はトルコ人。ギチェクとは若い頃からの仲らしい。
一人息子を持つ父でもある。海外の言葉や、中央アジアの古典文学などが好きで、カルルクを『リトルロード』と呼んでいる。
ケムル/アージャラトゥーム家の使用人。十八歳。
タミルに気に入られてしまったが為に、タミルに付きっきりとなって仕える役を負わされてしまった、野望ある若き青年。
その他の人物
樹下の少年/(先行短編のみ)【初出/短編第二話〜Зефир песни〜(前)】
少年の姿をしている、『桜』の精霊。イフラキークという男を待っている。彼自身でもある樹が切り倒された後、姿を消した。(先行短編第二話、表紙)
イフラキーク/(先行短編のみ)【初出/短編第二話〜Зефир песни〜(前)】
サクランボの古木に『学問を修め、アージャラトゥームの村へ帰る』と約束して村を出たが………。
シガイ/(先行短編のみ)【初出/短編第三話〜Зефир песни〜(後)】
サクランボ農家の青年。父の跡を継いで農業に精を出している。カルルクの幼なじみで、ソルドも面識がある。
セリーム(月下姫、姫君)/(先行短編のみ)【初出/短編第四話〜舞姫〜(上)】十八歳の少年。
ククル、タクシムの知り合いの少年。少年の踊り手(バッチャ)をしながら、男性相手の売春をしていた。現在はオスマントルコ帝国の帝都イスタンブルで茶店をしている。スルタンに謁見したという噂も………。(第四話表紙)
ルステム/(先行短編のみ)【初出/短編第四話〜舞姫〜(上)】八歳の少年
。
セリームの弟。あだ名は『リュズガル(風)』。兄の茶店を手伝っている。(第四話表紙)
シャヴカト/(先行短編のみ)【初出/短編第四話〜舞姫〜(上)】
オスマントルコ帝国に遊学している青年。二十四歳のウズベク人。ペルシャ語、オスマン語、生まれ故郷のウズベク語と、トライリンガル。タシュケントに妻がいる。
現場長/(先行短編のみ)【初出/短編第五話〜舞姫〜(中)】
ククルに染め物と織物、裁縫などを教えてくれた、恰幅のよい中年女性。威勢も良ければ仕事もできる、完璧主義者の頑固者。村の首長アカンベクの妻と対立しながらも、女だけの作業場をまとめている。子供を亡くしてから、夫婦二人暮らし。
地名
アカンベクの村(領主アカンベクの村) / ククルたち兄弟と、叔父(伯父)家族、タクシムの住む村。
遊牧生活をやめた人々が集って生まれた村で、二本の大河に挟まれたオアシス地帯にあるが、土地が貧しく、作物はあまりとれない。織物と染め物が主な産業。村の長アカンベクは『領主』を名乗っている。
アージャラトゥーム / ソルドの家族が営む、商人の一家。家長はギチェク。
カスピ海沿岸の村に居を構え、下男下女(お手伝いさん)の人数は常時十人以上はおり、多いときには二〇人ほどになる時もあるほどの家で、村の名士でもあり、対外的には『貴族』も名乗っている。
仕事に関しては親族のみで経営しているが、それ以外の人間も、能力次第で雇い入れることもある。村そのものがアージャラトゥームの拠点となっているので、村は商業都市としての性格も見せ始めている。
アージャラトゥームの村 / 人口2,300。村ではないけれど、その人口のほとんどがアージャラトゥーム家の仕事関係者や、使用人たちの血縁者たちであるため、村落として扱われている。村の長、ギチェクは『首長』を名乗っている。産業は多く、農耕、キリム(織物)、伝統的な彫金、彫り物などもある。